特集 直売所から脱プラを考える
クジラの胃の中から見つかった大量のプラスチックごみ、
鼻に刺さったプラスチック製のストローに苦しむウミガメ……
マイクロプラスチックの海洋汚染という衝撃的な映像が流れたことで、
脱プラスチックへの動きが世界各国で急速に進んでいる。
深刻さを増す温暖化についても、
国際会議の場で主要な議題として取り上げられている。
日本は早ければ2020年から
「レジ袋有料化」を義務化する方針を表明している。
農産物直売所はプラスチックが無ければ事業が成り立たない。
レジ袋はもちろんのこと、農産物や加工品の包装資材など、
他の小売業と比べてもプラスチックの恩恵に
あずかってきた事業だといえるかもしれない。
しかし反面で多くの直売所が大切にしてきた農村の暮らしや文化の中には、
プラスチックが登場するはるか昔から築かれてきた知恵や技術が詰まっている。
脱プラスチックという世界的な流れの中で、
直売所が改めて見つめ返すべき暮らしとは何か、
そこから生まれる新しい価値とは何か、
直売所が発信できることは何か。
ここで紹介した地域の小さな取り組みだけで、
世界のプラスチックごみ問題が解決するわけではない。
しかし、かつての暮らしを振り返り、
新しい価値を生み出そうとする人々の受け皿となる場所が増えれば、
全国にある直売所がその受け皿となれたら、
社会は少しずつ変わっていくかもしれない。
※この記事は「産直コペルvol.38(2019年11月号)」に掲載されたものです。