特集 3年目のLFP
LFP(LocalFoodProject)は2021年度のスタート以来、3年目の年を終わろうとしている。初年度は「地域食農連携プロジェクト」という名で始まり、現在は「地域食品産業連携プロジェクト」、正確に言うと「農林水産業と食品産業の連携強化・拡大支援事業」という名称で実施されている農林水産省の事業だ。
地域の資源を利用した新商品や新サービスを創出する事業は、これまでも「農商工連携事業」や「6次産業化事業」など何度も看板を変えて実施されてきた。それはそれで多くの新商品を生み出し農村地域の活性化を促す効果もなかったわけではないが、それぞれの事業が当初目指していた様々な産業事業者の連携による農業地域の〝面〟的な振興・発展というよりは、地域資源を利用した単体の商品開発の繰り返しという〝点〟や〝線〟の取り組みにとどまったという印象はぬぐい切れない。
こうしたこれまでの取り組みを超えていくことを目指して、地域資源を利用した商品づくりを最終目的とするのではなく、そうした新商品や新サービスが次々と・地域の力で・継続的に繰り返し産み出されていく〝仕組み〟を作り出すことを目指すのがLFPだといえる。(※本誌52号・54号のLFP特集参照のこと)
しかし、そんな〝仕組み〟とはいったいどういう形なのか?
スタート時点から模索されてきたのは、解決するべき「社会的課題」を共有した事業者たちが、自由に意見を交換し、課題解決のための事業を共同で構想・推進するプラットフォームの構築であり、それによって事業者たちの経済的収益にもつながるような、自立的で創発的な〝仕組み〟づくりであった。この〝仕組み〟づくりがキモであって、補助金をもらって新商品を作ることに収斂されるような取り組みであってはならない―そんな思いを抱えながら進んできた。
3年を経て、それはどこまで進んだのか?それを浮き彫りにするのが本特集の狙いである。本誌を発行する株式会社産直新聞社は、長野県におけるLFPの事務局を3年間引き受けてきた事業の当事者でもある。様々な試行錯誤を繰り返し、紆余曲折を経て今日まで来た。それを通じて全国の多くの仲間と出会ってきた。そんな経緯も踏まえて、主に「地域資源を利用した新商品・新サービスを継続的・創発的に作り出す〝仕組み〟づくり」に焦点を当て、3年目のLFPに迫った。