持続可能な社会の実現にむけて農林水産省が2021年に策定した「みどりの食料システム戦略」。様々な面から環境負荷軽減の推進が掲げられるなかで、重要な項目の1つとなっているのが有機農地・有機農業の拡大である。そして2050年までに耕地面積に占める有機農業の取り組み面積の割合を25%まで拡大しようというのが、現在目標として掲げられている数字だ。
しかし日本ではまだまだ有機農業は一般的な農法とは呼べず、全体における農地面積もわずか0・6%にとどまる(令和3年度実績「有機農業をめぐる事情:農林水産省(令和6年5月発行」より)。 こうした中で、有機農業の拡大に向けて2022年度から農水省が始めた政策のひとつが「オーガニックビレッジ」だ。これは、自治体等が中心となり、〝地域ぐるみ〟で有機農業を推進しようとする取り組みであり、国としてそれを支援するというもの。これまで主に個人単位で取り組まれてきた有機農業を、地域単位で進めることで、「点から線へ」、「線から面へ」と農地を飛躍的に拡大する狙いだ。
事業を開始した2022年度には55市町村が手を挙げ、2024年度にはすでに124市町村がオーガニックビレッジとしての取り組みを実施している。本誌では今回、オーガニックビレッジを推進している自治体や、それを支援している企業、農林水産省を取材。オーガニックビレッジによって日本の有機農業をめぐる状況はどのように変化するのかを追った。
特集 地域で取り組む有機
オーガニックビレッジ
06 数字で見る日本の有機農業の現状
08 農林水産省の担当者に聞く
オーガニックビレッジは地域に何をもたらすか
10 オーガニックビレッジ化を支援する取り組み
(一社)時代の農と食をつくる会
”よそ者”だからできる支援 「オーガニックプロデューサー」を派遣
12 事例①熊本県山都町
”生産者主体”で生産から消費までワンストップの推進体制
14 事例②福井県越前市
オーガニック「都市」を目指して 市全域で有機農業に取り組む
16 事例③三重県尾鷲市
漁業、林業に次ぐ第三の産業へ 「有機甘夏」を地域の稼ぐ力に!
18 事例④静岡県掛川市
岐路に立たされる茶産業 有機栽培に活路を見出す
19 事例⑤長野県飯綱町
地域として有機農地作りに取り組み 営農モデル確立を目指す
20 オーガニック加工品にどう取り組む?!
(一社)日本有機加工食品コンソーシアム 代表理事 佐伯昌昭さん
直売所ができることは沢山ある
22 オーガニック加工品販売に積極的な2つの道の駅をご紹介します!
群馬県高山村「道の駅中山盆地」
栃木県市貝町「道の駅サシバの里いちかい」
24 論考
オーガニックビレッジ構想 あえて、一度立ち止まり考える
26 除草の機械化・自動化を実現した「ミズニゴール」で、
コメの無農薬栽培の明日を切り拓く
28 新・農業経済第15回 千葉大学大学院 園芸研究員教授 櫻井清一
有機農業と日本の農産物直売所構想 あえて一度立ち止まり考える
32 Topics
なかどまりラボ
・ ”手作り漬物の継承”で新たな一手。直売所「ピュア」店長が新会社
上田市丸子農産物直売加工センター「あさつゆ」
・ 解説20周年レセプション、賑やかに開催される
道の駅八千穂高原
・9月27日、道の駅 八千穂高原がオープン!
38 トウガラシ博士が行く! 地域野菜あまから訪問記 信州大学 松島憲一
ベトナムのナスと塩辛と注連縄
40 店長・スタッフ必読!直売所読本第7回
「新鮮・おいしい・安くない」直売所
42 ごちゃまぜ探索食記 第56回 鳥居青葉
トウガラシ
44 農業と暮らしの経営学 VOL.26 農業経営コンサルタント 大住誠
管理会計は産直経営の強力な武器となる(収益構造分析編)
47 地産地消の人々~行動する直売所。それを率いる人々 全国農産物直売所ネットワーク 森岡亜紀
誰かに伝え、連れて来たくなる店
48 全国直売所、自慢の一品
道の駅信州新町「手打ちそば そば信」の天ざるそば
50 学校給食と地産地消 19回 学校給食地産地消食育コーディネーター 杉木悦子
地産地消を推進する「安曇野の日」の学校給食【前編】
54 土を育てる vol.46
有機的な土づくりで 家族経営でも持続可能な農業を
58 次号予告 編集後記