福井県東部、名峰・荒島岳の麓に位置する大野市の道の駅 越前おおの 荒島の郷がオープンして1年を迎える。
コシヒカリ発祥の地・福井県に相応しく大野盆地を埋め尽くすように水田が広がっているとはいえ、人口は約3万4千人の市。アクセスの大幅改善が期待される中部縦断自動車道が建設中だが、完成予定は令和8年。市街地は「北陸の小京都」と呼ばれる城下町で年間200万人の観光客が訪れるが、道の駅はその市街地から離れたところに建っている…その地に、敷地面積約4万9000㎡、建物面積約5000㎡の「北陸最大規模」の道の駅が出現したのだ。
「果たしてお客さんが来てくれるのか?」「売り場を埋める農産物・加工品が揃うのか?」「街中から人の流れが移ってしまわないのか?」…オープン前には、様々な不安を抱く住民も少なくなかったと言われる。
ところが、令和3年4月22日にオープンすると今度は驚きの声が大野市を覆った。目を見張るほどの大盛況。福井県内はもちろん岐阜県や滋賀県からもたくさんのお客さんが訪れ、当初予定の年間38万人の来客は、わずか3カ月ほどでクリア。年末には70万人に達した。心配された商品不足は、もちろんあまりの来店者の多さに品揃えが追い付かない日もないわけではなかったが、出荷者で作る「産直の会」の会員の奮闘で大野市産の農産物・加工品が続々と持ち込まれ、また新たな商品も生まれて店に集まってきた。その中でも特に、大野市を代表する農産物であるマイタケ・サトイモ・米など、他店では「脇を固めるバイプレーヤー」的扱いが多い商品が、主役として舞台に躍り出た。
当然、出荷農家は活性化し、日に何度も追加出荷に励んだ。加工品を出荷する地域の食品業者もグループを作って新商品開発に励んだ。
こうして道の駅 越前おおの 荒島の郷は、オープン1周年を待たずして、大野市並びに福井県奥越地域の地域活性化の拠点としての役割を十二分に果たし始めている。
その現状はどうなっているか? それを可能にしたものは何なのか? 同道の駅から学ぶものは多い。特別チームを結成して同店舗に迫った。
(産直新聞社 代表取締役兼編集長 毛賀澤明宏)