全国各地で農産物直売所の運営団体の世代交代や組織的再編成の波が押し寄せてきている。2年間を超えたコロナ禍の中で、もともと停滞していた直売所の経営状況が悪化して経営力の強化が求められ、運営体制を一新する動きが強まっているのだ。
公設民営がほとんどの道の駅や立ち寄り湯・宿泊施設等に併設された直売所は、現在そのホットスポットになっている。筆者の知るところでは九州南部、長野県をはじめ中日本地域、青森・秋田・岩手など北東北で顕著であり、それ以外の地域でも同様の事態が進んでいると聞く。
現状では、大別して
①任意組合や農事組合法人などによる運営(小規模なものが多いが、今なお数は一番多い)
②前者が発展して企業化した団体による運営(1~10億円程度の販売額がある農業系地元企業が展開する場合が多い)
③農業系に限らず他産業資本が展開する直売所
④上記3パターンの直売所の事業を、道の駅の運営会社(ほとんどの場合第3セクター)が事業として取り込んだり、テナント貸しをして併設していたりする形の運営
⑤そしてJA系の直売所運営
―などの直売所の運営形態がある。
もちろん例外はあるとはいえ、このうちコロナ禍で運営・経営的に大きな損失を被ったのは①と④に集まっており、これらのグループで、運営体制一新の波が強まっている。
一方で、②③のグループは比較的に安定的に売り上げを伸ばしており、⑤のJA系も底力を発揮して売り上げを伸ばした店が多い。
さて、このような状況下で、特に①④の運営体グループの店に問われていることは、直売運営者・リーダーの育成である。これらの店は総じて「直売事業創設世代」―今から20~30年前に直売所立ち上げを経験した世代のリーダーが、今も現役で先頭に立っている・立たねばならなくなっている状態であり、以前より目指されてきた運営改善・経営改善も停滞している場合が多い。
そこにコロナ禍。いよいよ客足が途絶えた店では、一挙にトップ交代や、大家である行政からのテナント明け渡し・直売所運営権の〝移譲〟の要請、道の駅などの運営団体の差し替え・地域外企業などへの丸投げが現実化しているのである。
この局面をどう乗り越えて行くのか?『産直コペル』52号では、30~40代を中心に、店長や駅長として直売所の運営の先頭に立っている「次世代リーダー」たちの取り組みに焦点を当て、新たなリーダー育成の方向性を探った。
(産直新聞社 代表取締役兼編集長 毛賀澤明宏)